蛇よりも狡猾に目標を捕捉せよ





「ねぇ、セブルス。僕は君のことが大好きなんだ。君のためならなんでもするよ」

 じゃあ、いますぐその手でおまえを殺してみてくれ、僕はいつもの調子でそういい捨てた。僕としてはいつもの駆け引きのつもりだったのだ。そうしたらヤツはいつもの調子で僕の毒舌を受け止めいつもの調子でそう、と言って突然視界から消えてしまった。


「何のつもりだ!?」
3階の窓から飛び降りたジェームズを浮遊術で引っ張りあげた僕は目の前の男に怒鳴った。
「何のって、君が殺してくれって言ったからそれを実行しようとしたまでだよ」
男はいつもと変わらない調子で言った。
あまりにも普通だった。

眩暈を感じたのは窓から見える空の明るさに眩んだからだと思いたい。

初めてジェームズに恐怖を感じた。

いつから、彼はこうなってしまったのだろう。そして彼の変化、いやもしかしたら本質を見抜けていたつもりで見抜けていなかった僕はとんだ間抜けもいいところだ。これではブラック達のことを言えない。
でも、ここでこの恐怖から逃げてしまえば僕は絶対に後悔し、自分を恥じるだろう。それよりも何よりもジェームズが僕に興味をなくしてしまう、離れていってしまう。

僕の歩む道はお世辞にも明るい道とはいえない。だからこそ今だけでも、陽だまりの中で過ごすことのできる今だけでも光に、彼に接していたいのだ。

 彼は僕が“答え”を、彼と今まで彼が会ってきた人が見つけられなかった、答えを知っていると思っているあるいは期待している。もし僕が"答え″を持っていないとわかったいたらジェームズがこんな風に僕に接することはなかっただろう。


私はスリザリン。
どんな狡猾な手を使ってでも彼を繋ぎとめてやる。
せっかく手に入れた心地よい鎖を簡単に手放すほど私は間抜けでもお人よしでもない。
何も欲しいとは思わなかった。むしろ全ていらなかった。どうせ欲しても手に入らないのだったら願うだけむだじゃないか。そう思っていたんだ。此処に来て、絶対にできないと思ったもの ができて此処にいる間は僕も何かを欲しいと思ってもいいんじゃないか、願いを持ってもいいのではないか。そう思ったんだ。



だから


まだ離さない





私はスリザリン

蛇よりも狡猾に目標を捕捉せよ











*)最後の所はハリスネの冒頭部分とほぼ同じです。
要するにハリーとセブはある意味似た者同士
少し『ロックオン』の話とリンクしてますのでヒマでしたらそちらもどうぞv