水曜の放課後、シリウスはレイブンクローの女子とデートで、リーマスは探しても見つからない、ピーターは補習で特に何もすることがなく僕はヒマだった。なので最も暇つぶしに付き合ってくれる確率の高い人物がいる場所に足を運ぶことにした。




「セーブールースv」

「読書の邪魔だ。失せろ、ポッター」

「うわっ、ひどい!僕はこんなにも君の事を思っているのに」

「寝言は寝て言え。そして黙って、僕の視界から消えろ」

「ま、いいや。何を読んでんだい?」

「おまえには関係ないことだ」

「・・・ケチ」

「ケチで結構。気が済んだならとっとと・・・って、おい!勝手に見るな」

「いいじゃん、減るものでもなし。え〜と」
僕はセブルスの読んでいた分厚い本を取り上げて一部を読んだ。

『ー主の名を汚す者は必ず殺されるであろう。全会衆は必ずかれを石で撃たなければならない。他国の者でもこの国に生まれた者でも、主の名を汚す時は殺されなければならない。だれでも、人を撃ち殺した者は、必ず殺されなければならない。獣を撃ち殺した者は獣をもってその獣を償わなければならない。もし人が隣人に傷を負わせるなら、その人は自分がしたように人にされなければならない。すなわつ、骨折には骨折、目には目、歯には歯をもって、人に傷を負わせたように自分もされなければならない。獣を撃ち殺した者はそれを償い、人を撃ち殺した者は殺されなければならない。l』


「何、これ?」

「マグルの宗教の聖書だ。旧約聖書と言われているほうだがな」

「聖書ってわりには生臭くない?」

「宗教というものは同胞には寛大だが異端者や異教徒には残酷なものだ。自分達は神の御使いであり、異教徒や異端者は悪魔の手先で滅ぼすべきものと、のたまい大量虐殺をしてのけるのだからな」

「ふーん。君がマグルに興味があるなんて、マルフォイあたりが知ったらどう思うだろうねぇ」

「別にマグルに興味があるわけではない。僕が興味を持ったのは神や正義というものがいかに愚かしいものかを記したこの本だ」

「そんなに愚かかな?」

「正義や悪なんてものはこの世に存在しない。一体、どこの誰が自分のやっていることを間違っていると思って行動する?ようするに正義とは自分がそうだと信じるもので、悪とは自分に相容れないもの、都合の悪いものだ」

「手厳しいなぁ。じゃあ、君は現在の魔法界の状態をどう思う?最近、活発になってきた髑髏の連中、あれを悪ではないと?」

「逆に問うが否、と答えたら僕はどうなると思う?」


 闇に属する者として何らかの制裁を加えられるだろう。実際、彼らに与していると言う疑いだけで逮捕された人がかなりいるのだから。そしてその影響は確実にホグワーツにも出てきている。スリザリンの寮生は他の寮生、特にグリフィンドール、に白眼視されている。また、家庭の事情とかで学校を去る生徒や、家族の葬式に出るために、と言ってそのまま帰ってこなくなる生徒もたくさんいた。


彼は深いため息をついて
「僕達は選ばなければならない、闇といわれるものに属するか、光と言われるものに属するか」

「2択しかないなんて随分とケチなんだね」

「僕に言うな。もう気が済んだろう?とっととあるべきところに帰れ」


どうやら彼は僕が暇つぶしに来たことに気づいていたらしい。
彼が言う僕の『在るべき場所』とは何をさしているのだろうか。


「つれないなぁ。もう少し話してよ」

「ここをどこだと思っている。それとも天才ポッター様の頭はその髪型同様、ホグワーツの教室を覚えておくこともできないほど忙しいのかね?」

「今日はおとなしく引き下がることにするよ」


少なくとも彼の隣ではないようだ。
じゃあ、僕の『在るべき場所』は一体どこにあるんだろう。今まで誰もそれに対して正確な答えを教えてはくれなかったが彼なら教えてくれそうだ。これは思わぬ収穫だ。これからもこうやってセブルスにチョッカイ出していこうと思った。




                  

                 答えが見つかるまでは















 





 


*今までは単なるいたずら・喧嘩の相手としてしかセブを見ていなかったジェームズがセブルスを意識する話。

ちなみに引用は旧約レビ記から。







(余談)私は中高6年間カトリックの学校に通っていました。週に1回宗教の時間があったんですが6年間やってきてどうしても好きになれませんでした。聖書とか聖歌、教会の様式美は好きでしたが、キリスト教の教義がキライ。

 隣人を愛せ、右のほほをうたれたら左のほほを差し出せ、人はパンのみでは生きていけない・・・etc。
 立派ですが、高潔すぎて拒否反応起こりまくり。もっと小さい頃に出会っていたら何の抵抗もなく受け入れられたんでしょうけど、反抗期真っ盛りなお年頃にはムリでした。
 おまけに担当の先生が「神様の声を聴いた」とかボケたこというもんだから信仰心なんて芽生えたもんじゃない(笑

 隣人愛を謳っている宗教のくせに異教徒と見ると女子供関係なく虐殺するしね。
世界で起きている紛争の原因の大部分が宗教の違いから派生しています。もし、宗教が世界から消えたらパレスチナの紛争は解決しているでしょうし、もっと平和になると思いますよ。
 まぁ、なくなったらなくなったで困る人も居るとは思いますが、一般的な日本人に囲まれてすごしている一般的な日本人である私にはわからないことです。

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2年経って読み返しましたが、このあとがき自体が反抗期真っ盛りなお年頃の人間の発言だと思います。
自分で読んでいて恥ずかしい・・・。若気の至りということで放置しておきますが、耐えられない場合は消去します。現在ではそこまで否定的ではないですので、今までこれ読んで不愉快な思いをされた方には申し訳ないです。

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