だから、おねがい、そばにいて





彼らしくなく酔っていた
躾のいい猫のように体をすり寄せ、頭を肩にのせてよりかかる
彼のよりかかった相手がワシではなく、たまたま傍にいた韋護であったことに、ワシの長い間澱んでいた何かが決壊した。

肉体的なつながりなど、本来はなくてもかまわないのだ。
いつ命を落とすかもしれないこんな状況下だ。ただ生きていて、できればそばにいてくれればいいとしか思っていなかった。
それでも、慣れてくるとヒトは貪欲になる
彼を知りたい。色々なことを一緒に経験し、乗り越えてきた。その度に彼の心の内に触れてきて互いを想いあうようになった

ついには、浅はかにも心だけでなく肉体的にも、もっと近づきたいと思うように最近はなってしまった。
自覚してしまったら、もう止まらない。
はじめの頃は押しとどめようと試みたが、そうしようとすればするほどに、欲は積もるばかりで、今宵、さんざん溜め込んだ浅はかなそれらは決壊を迎えたのだった。

足取りの覚束ない楊ゼンを自室にひっぱりこむ
酔いの回った楊ゼンの色香はたいへんなもので危なっかしくてあの場においておきたくなかったのだ
こちらの気も知らないで、楊ゼンは部屋に着いても、無理やり会場から連れ出されたことに対して抗議している。

うるさいといって唇を奪った
普段はこのような強引な口付けはしないのだが、酔っているのをいいことに行為はエスカレートする
抵抗は、ない。
首に舌を這わせるとくすぐったいのか身をよじらせて笑う
色気のない奴だと思いながらも、手は止めずにどんどん彼を暴いていく。
一通り、肌を堪能していたら、そっと頬に熱い手があてられた。

あついですね、すうす
酔っているのですか?

おぬしもあつい。酔っているな

お互い様ですね

ふふふ、と上機嫌に互いの頬を寄せあって笑った
もう一度深く口付けを交わしたのを合図に、わしらは獣のように互いを貪った

すうすと舌足らずに何度もわしを呼び、しがみつく楊ゼンを愛おしく想った













*)
ついに一線越えさせちゃいました。
補足すると、二人とも素面だったりしますが、そのへんはいつか書くかもしれない。




おまけ↓
うう、痛い
すまん
次からはもっと気をつけよう
次もあるのですね
あるのですねって、お主はあれきりでよいのか
僕には肉体的な要求はないに等しいんですよ
じゃあ、なぜ、酔いもしない酒に酔って無防備だったのだ、襲ってくれといっているようなものだったぞ

だってすうすが襲いたそうにしてるから、
襲われやすくしてみたんです
僕ってできた恋人ですよね、
褒めてくれと言わんばかりの、まるで主人を見つめる吼天犬のような眼差しで言われて脱力する
あぁ、でもたくさんスースのことを知れた気がします
たがらこの行為は好きですよ

とりあえずだまって、しばらく余韻に浸らせてくれ、と太公望は思ったのであった